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す。
条件によって変わるので、何ともいえないが、ただ1つのめどといえるのではないでしょうか。
従って、地球人口の上限を仮に80億と考える場合、その80億になるまでのこれからの30年間は、人類にとってはもう二度とこない、この時期を逃しては人類の生存はありえない重要な時期となるということになります。なんらかの方法を、これから30年の間に見いたさなければならない。
この30年の間に、バイオテクノロジーが劇的な発展を遂げ、食料問題を解決していけるのかどうか考えますと、非常に不安になります。
私どもも自信をもって言えませんし、専門の先生方も一所懸命やっていただいているのですが、かなり不安です。
そうなると、我々が抱えている問題は、人口と食料の2つの側面があるということになります。食料の問題だけを扱っていても人口がある限界を越えて増加してしまえばどうにもならないのです。
人口の方は、様々な議論があるとしても世界の人口をなんとしても80億にならないような速度にし、増加を抑えるということしかない。今市し上げた食料問題から考えた場合の世界人口の数値は、国連が計算しました中位の推計です。これがもうすこし高く、多くなったらどうなるか。推計には、低位推計も高位推計もあり、どのように変化していくかは現在とこれからの取組み方にかかってくるわけです。
人口については、ひとまず、悲観的に考えなければならないだけに我々の大変な努力が必要なのだということをご理解ください。
これまで、マクロ的観点のみを申しましたが、ミクロ、マクロの両方から見ると、また違った考えがでてまいりますし、国によってもそれぞれ置かれた条件は非常に違います。
昨日、川野先生がパキスタンでは灌漑が農業のための最大の方策であるとおっしゃいました。しかし、ある国ではそうではなく、電力が必要となる、とお話されました。ミクロな点から見ますと、個々の条件によってとるべき政策ががらっと変わってくる。今後は、それぞれの需要に応じた大変な努力が必要になってくるのだということだけを申し上げたいと思います。

 

シフ・カレー(司会)
黒田先生ありがとうございました。非常に興味深い面白い発表をしていただきました。
では、次にチャッダー先生お願いできますでしょうか。

 

 

 

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